●天道
 インド出身の神々や神霊などが住んでいる世界。神さまが住んでいるところだっていうのに、この世界でも、仏さまのいる世界から見れば、絶対的な境地とは言えないらしい。限りない快楽が渦巻いちゃってるすてきなところで、毎日が酒池肉林の生活。長生きもできるけど、死ぬときは地獄に勝るとも劣らない苦しみが待っているんだって。
 
●人道
 私たちが住んでいる人間の世界のこと。なかなか暮しやすい場所のようにも思えるけど、どんなにいい人でも死んじゃうし、四苦八苦のいろんな苦しみを味わわなくちゃならないし、そう言えば世界のどこかでは必ず戦争が起きてるし、天変地異も必ずどこかで起きているし、仏さまたちから見れば、ぜんぜんたいしたことない世界なんだろうなあ。
●阿修羅道
 人間には劣るけど、寿命は短い。神さまたちと同じような能力を持つ鬼神たちの世界。優れた者は須弥山の北、巨大な海底に住み、劣るものは4つの島の間の山の岩山の間に住んでいる。ここでは毎日、朝から晩まで、まるでSMの世界のように、天界の者によって侵害され、あるいはいろんな責め道具で責められるんだって。
 SM好きの方は次の世ではぜひここに生まれ変わることおススめ。
●畜生道
 鳥や獣、虫や魚の住む34億種類の鳥禽類(ちょうきん)獣類、虫類の世界。いつも人から施しを受けるばかりで、自分からは何もしようとしなかったような人は、この世界に落ちるとのこと。お互いに食べ合ったり殺し合ったりしちゃう恐ろしい世界みたい。
●餓鬼道
 ここはすごいよ。食べ物も水も一切口にできないって苦しみを、500年も味わうんだから。ねたみやそねみの心が強かった人は、ここに生まれ変わるんだって。
 よく自分よりモテてる女を見ると「なんであんな子がチヤホヤされるわけ。あたしの方がずっといい女なのに」
 とか思ったりするけど、こりゃ気をつけないと、あなたは餓鬼道に生まれ変わっちゃうな。
●地獄道
 人間たちの住む世界から約1千由旬(1由旬約14.4キロ)の地下にあり、30分もしないうちに到着してしまうところにあるのが地獄。
 地獄って行こうと思えばすぐに行けちゃうところにあるんだよ。
 この世界は地下8階建てになっている。
 B1F 鬼たちに鉄棒などでたたかれまくられる当活地獄(とうかつ)。ギャー。
 B2F ノコギリや斧で切り刻まれる黒縄地獄(こくじょう)。ヤメテー。
 B3F 熱〜く煮えたぎる赤銅の中に落とされたりしちゃう衆合地獄(しゅうごう)。ギョエー。
 B4F 鍋や釜でグツグツ煮られてしまう叫喚地獄(きょうかん)。アレー。
 B5F ここまで味わって来た苦しみの10倍を味わえちゃうという、驚異の大叫喚地獄。オー、ノー!
 B6F その大叫喚地獄の10倍苦しい焦熱地獄(しゃくねつ)。くっくるし〜い!
 B7F これまたさらに10倍のとてつもない苦しみを味わう大焦熱地獄。もーダメ。
 B8F 究極の地獄。阿鼻地獄(あび)。オー・マイ・ゴッド!
 ざっとこんな感じ。極楽に行かなければ、結局は、この六つの世界の中をずっと生まれ変わるって仕組み。今の世の中で出世したいとか地位や名声やお金が欲しいと思うのもいいけど、地獄道なんかに生まれ変わったりしないように気をつけて…?
【雑学2】
天国と地獄という観念は、原始時代から人間の心の中にあったようである。生前に徳をつんだ人には永遠の平和と幸福を――このような来世思想は、全世界のあらゆる文化に共通している。来世がどうなっているかを誰も正確には知ることができないにもかかわらず、来世の存在だけは固く信じられている。
楽園を意味する「パラダイス」という言葉はもともとペルシャ語で、「祝福された者の国」の意味をもち、後にギリシャ語に取り入れられたのである。後年「天国」の意味で用いた。
仏教、ユダヤ教、キリスト教においては、罪に走りやすい人間を正道につなぎとめておく教訓的手段として、地獄は気味悪く恐ろしいイメージで描かれる無限の罪という脅しである。
中国の極楽
 18世紀、中国の皿に描かれた極楽のようす。善人の魂は、神々の宮殿に迎えられる。
審判の下る日
 15世紀ドイツの画家の描く最後の審判の日の恐怖と喜び。罪人が悪魔に食われる一方で、祝福された者は天使に楽園へ導かれる。