聖武天皇の皇太子墓として宮内庁が管理している奈良市の那富山墓(なほやまのはか)に、人身獣面の像を刻んだ「隼人石」(はやといし)と呼ばれる4個の石がある。
1998年宮内庁と奈良県立橿原考古学研究所が共同調査を行った結果「ネズミ」「牛」「ウサギ」「犬」像であることを確認した。
ウサギは地に膝をつけ、両手を胸の前でくんでいる。両耳やヒゲは見えるが表情は不明である。裸で、ふんどしらしきものを着ている。調査した河上邦彦・神戸山手大教授(考古学)によると「確認できた動物は干支の子、丑、卯、戌。韓国・新羅の墳墓に配置された十二支神像と同じようなものではないか」と推測する。
十二支は昼夜12時の護法神でキトラ古墳の石室壁画にもあった。隼人石も本来12名そろっていたはずだ。17世紀の文献に「七つの立石にキツネのかたち」とあり「持ち去られるなどして7個に減り、最後に4個が残ったのだろう」と河上教授。もともと別の場所にあって、後世に那富山墓へ運ばれた可能性もあるという。
続日本紀には、皇太子は727年聖武天皇と光明皇后との間に生まれた皇子だが、翌年亡くなった。隼人石が当初から皇太子墓にあったとすれば、幼いわが子の魂を守ろうと、両親が祈りを込めて置いたものかもしれない。皇太子(基王)が亡くなった事が、後に長屋王への変へと繋がっていく。
(出典SANKEI EXPRESS 2011年1月9日)
『十二神将、表参道駅に現れる!』
奈良・新薬師寺が所蔵し、天平彫刻の傑作とされる十二神将立像が東京メトロ表参道駅(東京都港区)構内に登場し、乗客ににらみを利かせている。
本物は国宝で外部へ持ち出しができないため、等身大にコピーしたポスターを駅の円柱に巻き付けた。JR東海が奈良キャンペーンの一環で、23日まで企画した。
薬師如来を守るため、憤怒の表情を浮かべた十二体は迫力満点。十二支の守護神としても信仰されている。同社の担当者は「あなたの守護神を見つけてみては」。
(出典 asahi.com 2011年1月21日)