干支を年月日に配当することは、年月日を数字で数える代わりの順序表示として優れたものであることは疑いないが、しかし、それが年月日を順序づけるという目的以上に特別な神秘性をもつようになった。
それは、いつの間にか干支に陰陽五行説が介入し、占いとなり、信仰へと、また迷信へと発展してゆくことになるのである。
余談1:徳川五代将軍綱吉(異名、犬公方)は1646年の丙戌(ひのえいぬ)の生まれである。僧隆光が、綱吉に後継の男子に恵まれなかったのは、それは前世の応報であるから、殺生を慎みとくに戌年であるので犬を憐れめという進言をした。
また、老中柳沢吉保も戌年(1658年)であったからたまらない。天下の悪法といわれる「生類憐みの令」を貞享4年(1687年)に発令し、以後22年間続いた。
中国でも北宋の八代皇帝の徽宗は元豊5年(1082年)壬戌(みずのえいぬ)の生まれであったため、「禁止殺狗」の詔勅を発布した。その当時、中国では犬の肉は日常の食料とされていたので、庶民は高価になった牛や羊の肉を買わねばならなくなったという。
明の十一代皇帝武宗は、弘治4年(1491年)亥年生まれであった。正徳14年に「厳禁畜猪」という法令を全土に発布して豚を飼うことを禁じた。亥年生まれ(中国では猪を豚とする)であるために、自らが人に飼われることを嫌ったためである。
余談2:マック「ブタえもん」外しで謝罪 シンガポール(2010年1月22日21:58 【共同通信】)
 【シンガポール共同】十二支の動物に扮した「ドラえもん」のぬいぐるみを販売していたシンガポールのマクドナルドが、イスラム教徒に配慮して豚(日本のイノシシに相当)のぬいぐるみを排除したことに中国人客が猛反発。マクドナルドは22日、地元紙に謝罪広告を掲載し、豚に扮したドラえもんの販売を始めることを明らかにした。⇒ニュース詳細